2007年10月1日月曜日

マイケル・ムーア~シッコ~

マイケル・ムーアの”シッコ”という映画が公開されている。
テレビでの宣伝は見たことが無い。

なんで?

厚生労働省とか、日本医師会とかの何か陰謀めいた操作があるんでしょうか?

日本は皆保険制度が定着しているので、「アメリカってかわいそうな国なんだね。」なんて思うこと必至だからなのか?
この映画が、宣伝されない理由が分からない。

お金がかからないための保険制度なはずなのに、お金がないと入れない。
健康を維持促進するための医療なのに、お金がないと受けられない。
本末転倒な現実がアメリカにあるのです。

ここでも出てくるキューバという国は社会主義・独裁国家と呼ばれていますが、一キロ四方あたり24時間体勢の診療所を1つ置き、臓器移植に至るまですべての医療費が無料であるという医療先進国。
医学生の育成はすべて国家予算でまかなわれる。
まさにアメリカの敵国はアメリカとは全く違う制度を持っている。

国家予算の使い道の違いが、国民の安全と健康を左右するといういい見本である。

アメリカでは軍事も医療も他の産業に漏れずビジネスである。
アメリカの軍事費は国民の安全を守るために(今は世界の安全を守るために?)必要であるというのがアメリカの主張だが、国民の安全を何から守るかという大儀が欠落している。

はじめはソ連中心の共産主義だった。
東西の壁が壊れると、今度は石油産出国の反逆の主イラン。そしてイラク。
今はテロリスト・・・。
都合よく相手を替えて「お前ら何も分かっちゃいないんだよ」といわんばかりに、目ざとく「敵」を作り出しているように思えてならない。

ERなんか見てると、すごーく進んでいるというイメージのあるアメリカの医療だけど、それに預かれるのは一部の人々である。
アメリカの平均在院日数は3日といわれている。これは入院費がべらぼうに高いためで、扁桃腺がはれたから・・ぐらいで1週間も点滴しながらゴロゴロしていられる日本人からすると全く考えられない。
妊婦さんも出産1~2日で帰らないと凄い金額の請求書がくる。

話はちょっと違うけど、患者が病院にたった3日ぐらいしかいない、(で・・・給料は日本の4倍もらっている)国の考え方を中心に、それを手本にした看護師教育が行われているのも日本の現実。

健康保険制度が破綻してきているといわれている日本が、アメリカに続こうとしている動きがある。
言っておくけど、アメリカの医療制度は手本にならない世界有数の医療制度後進国なんだよ。
救急車がたらいまわしの破綻しそうな医療制度に、日本がどのくらい国家予算をさいていて限界だと言っているのか考えて欲しい。

単なるアメリカ批判ではなく、お金儲け中心の国の繁栄が一人ひとりの幸せにつながるのか、ということをこの映画を観て考えてみて欲しいと思う。
「国民の安全と健康を守るという国の使命」を具現化するために行うべきこととは何かが、彼の前作”華氏911”とつなげてみると良く見えてくる。